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JEFとNTT、動画共有サイト“ClipLife”を使った研究成果共有サービスを開始

2006年12月26日 18時03分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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有限責任中間法人日本技術者連盟(JEF)と日本電信電話(株)(NTT)は26日、東京・大手町のアーバンネット大手町ビル内コーポレートニューズルームにプレス関係者を集め、NTTが提供している動画共有サイト“ClipLife”(クリップライフ)を活用した技術者・研究者向けの動画による成果共有サービス“TechnoSphere”(テクノスフィア)を試験的に運用開始したと発表した。2007年3月まで試験運用され、4月以降は本格的な商用利用を目指すという。試験運用期間中の動画の投稿や視聴はすべて無料で行なえるが、技術研究の成果に関する内容に限定される。

TechnoSphereのトップページ
TechnoSphereのトップページ。現在は海外からの投稿動画が中心に55件が登録されている

発表会には、JEFの会長で多摩大学経営情報学部大学院経営情報学研究科教授の星野克美氏、今年8月のClipLife発表の際にも登壇したNTTの第三部門プロデュース担当の仲西 正(なかにしただし)氏が出席し、両者の協業の狙いや背景などを説明した。

“E2B”のWeb 2.0的アプローチで技術者や研究者が知識を広く配信

星野克美氏 仲西 正氏
JEFの会長の星野克美氏NTTの第三部門プロデュース担当の仲西 正氏

今日から試験運用が始まったTechnoSphereについて、星野氏は“E2B”という見慣れない単語で概念を説明した。E2Bは“Engineer to Business”(エンジニアをビジネスに結びつける)という意味で、「ずいぶん前から21世紀は“ナレッジエコノミー”(知識経済、知識産業)の時代と言われてきた。人口減少や高齢化が進む中で、知的生産は今後の日本の産業の中心になる。産業界や学会が消費者や一般市民を巻き込んで知識を共有し、新たな産業を創造していく仕組みが必要になる。その先駆けになれればとTechnoSphereを立ち上げた」と述べた。

TechnoSphereの事業概念 TechnoSphereのビジネスモデル
TechnoSphereの事業概念TechnoSphereのビジネスモデル

さらに、「最近では慶應義塾大学が東京国際フォーラムを使って研究成果発表を行なったが、1日で終わってしまった。わけを聞いてみると、会場の費用などで1日で数千万ものコストがかかるためだという。また国内の150程度ある学会の発表成果が公表されるのは現状では学会誌程度しかなく、それも(誌面の都合から)すべてではない。選ばれなかった成果をより多くの人に認知してもらうのに活用できれば」と抱負を語った。

TechnoSphereに投稿された動画
TechnoSphereに投稿された動画は、メディカル、エレクトロニクス、バイオなどのカテゴリーごとに分類され、サムネイルとタイトルで分類される

投稿はエンジニアによる技術成果の発表内容に限定しているが、投稿者の登録や審査は行なわず、企業の研究者・開発者からベンチャー企業や企業内個人、さらに学生や各種学会などにも広く投稿を募るという。投稿できる動画は5分以内の内容に限られ、まずClipLifeに登録される(投稿可能な動画ファイル形式や配信形式への変換などはClipLifeに準ずる)。そこで技術成果の発表に準ずる内容かどうかをJEFが精査してタグ付けしたものがTechnoSphereからも参照可能になるという手順だ。

ClipLifeから動画を参照
ClipLifeから動画を参照しているところ。これは甲虫の一種を使って湿原の生態系を破壊しかねない一部の特定植物の減少を目指すという科学プロジェクト。日本語のナレーションが当てられているので分かりやすい

ClipLifeの機能である、ブログからの参照(簡単なJavaScriptを記入、もしくは自動生成されるスクリプトをコピー&ペーストすることでブログの中で再生表示可能)、およびブログパーツとして新着動画の参照が可能。TechnoSphereでは、こうしたブログで話題が盛り上がることで参照数が伸びることにも期待しているという。

12月26日時点でClipLife側には約70の技術成果に関する動画が投稿されており、TechnoSphereでは55件が登録済みとなっている。また、ClipLifeの“ダイジェスト機能”(投稿された動画から15秒程度のダイジェスト版を生成してRSS配信することで、より多くの人が興味のある画像を見つけやすくなる機能)を活用することで、投稿された映像が長期に渡って広く参照される“ロングテール”を目指すとしている。

ClipLifeの動画共有機能
ClipLifeの動画共有機能を活用して、話題作りからビジネス創造へと盛り上げていきたい、とNTTの仲西氏は説明

当初は投稿された動画の公開によって視聴者や投稿者を募り、広告配信ビジネスによる収益を目指すが、2007年4月以降の本格運用ではビジネスマッチングの仕組みなどを設けて、成果の拡大を図る。星野氏は、「こうしたサービス(Web 2.0的アプローチ)は、短期間でぐーんと成果を上げることが知られている。TechnoSphereもそうした流れに乗れるだろう」と自信を見せた。

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