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【一足先に目撃】手のひらサイズのハイビジョンハンディカム『HDR-HC3』

2006年02月22日 06時11分更新

文● 伊藤裕也

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HDR-HC3の本体カラーは2色
『HDR-HC3』にはシルバーとブラックの2モデルが用意される。このような色違いのモデルは、通常であれば色が異なるだけだが、HDR-HC3の場合はシルバーモデルでは全面にUV加工、ブラックモデルではレザートーン塗装による表面処理がなされている。カラーによって表面処理が異なるというのはなかなか面白い仕掛けだ

21日に発表されたソニー(株)の“ハイビジョンハンディカム”『HDR-HC3』は、miniDVカセットに1080iで映像を記録できる身近なHDカムコーダとして昨年大きな話題となった『HDR-HC1』(2005年5月発表)の後継モデル。カメラ部は光学10倍のズームレンズに1/3インチのクリアビッドCMOSセンサーからなる構成で、VTR部はminiDVカセットに1080iの映像を記録できるHDVフォーマットをサポートしている。このHDR-HC3では、さらなる小型化・軽量化が図られたほか、新しいイメージセンサーの採用による高密度化・高感度化など、使い勝手と性能の面で大きな進化を遂げている。

そこで本稿では、21日に都内で開催された製品説明会で使用されたデモンストレーションモデルのファーストインプレッションを、写真でレポートする。製品の詳細スペックについてはニュース記事が詳しいので、併せてご覧いただきたい。なお、映像品質については近日中にレビューを行なう予定なのでしばらくお待ちいただきたい。



本当にハイビジョン対応!? と疑うほどの驚愕の小ささ!!

HDR-HC3最大のセールスポイントは、女性の手でも楽に扱えるコンパクトかつ軽量なボディにある
HDR-HC3最大のセールスポイントは、女性の手でも楽に扱えるコンパクトかつ軽量なボディにある。本体サイズは幅82×奥行き139×高さ78mmで、付属バッテリー使用時の撮影時重量は560g。従来モデルのHDR-HC1でも“ハンディカム”の名に相応しいコンパクトなHDVカムコーダではあったが、それは自主制作ビデオなどを作成する人や業務でカムコーダを使用する人の間で定評ある『HDR-FX1』(2004年9月発表)に比してのことで、現在主流となっている家庭向けDVカムコーダーと比較するとやや大きく、片手でのコントロールなどは難しかった。かねてからより一層の小型化・軽量化が期待されていただけに、HDR-HC3の登場を喜んでいる人は少なくない
HDR-HC1 HDR-FX1
HDR-HC1HDR-FX1
参考までに、従来のHDV対応カムコーダーの写真を再掲してみた。HDR-HC1(左)のサイズは幅71×奥行き188×高さ94mmで、付属バッテリーパック(NP-FM50)使用時の重量は約780g。HDR-FX1は幅151×奥行き365×高さ181mmで、重量は約2kg
奥のHDR-HC1と手前のHDR-HC3を並べて見ると、その大きさの違いは一目瞭然。重量も、手にしただけでその違いがわかるほどである。サイズと重量に関していえば、HDR-HC3を触ったらHDR-HC1には戻れないかもしれない
編集部スタッフがHDR-HC3を手にしたところ。このスタッフは身長155cm弱と比較的小柄だが、このような女性でもHDR-HC3であればこのとおりラクに扱うことができる
液晶ディスプレーを開いたところ
液晶ディスプレーを開いたところ。このディスプレーは21万画素の2.7インチワイド液晶パネルを採用。従来比で約1.6倍という高いコントラストが売りで、まぶしい場所でもハッキリと映像を確認できるという。なお、このデモンストレーション会場は天井から強力なライトによる光が差し込んでいたが、その状況下でもきちんと使用できたことをお伝えしておく
本体前面 本体後面
本体前面。レンズ周辺は円ではなく楕円を用いたデザインになっている。レンズ上部にはフラッシュ、下部にはマイクを備えている本体後面にはビューファインダーに電源兼モード切替ボタン、録画ボタンといった基本的な撮影機能が並ぶ。バッテリーは本体内部にもぐりこむかたちになっており、大容量バッテリーでもカムコーダーの後ろからはみでるようなことはない
本体左側面 本体右側面
本体左側面。液晶パネルを閉じたところ。光に反射して輝くHDVのロゴがその存在感を主張している本体右側面。電源兼モード変更スイッチの付近にあるLEDは、HDR-HC3の撮影モードを示すランプだ。miniDVカセットを格納するメカのある部分の前には、HDMIなどを扱う端子が隠されている。また、miniDVカセットを覆うケースはグリップになっており、上面は握りやすいように7度の傾斜がついている
本体上面 miniDVカセットの交換はケースの上面から実行可能
本体上面。膨れている右側はminiDVカセットを収納する場所だ。膨れていることから持ちにくいのではと心配する人もいるかもしれないが、この膨らみにより逆に手にフィットするようになっている。ちなみによく見ると、指のかかる部分がラバー素材であるなど作りが細かい。撮影者の利便性を強く意識したデザインになっているminiDVカセットの交換はケースの上面から実行可能だ。HDR-HC1ではケースの下面から交換する方式であり三脚などに固定して使用する場合に大変不便を感じる部分であっただけに、これは嬉しい改善点だ
CMOSロゴの下に、カメラコントロールというダイヤルとボタン カバーをはずすと、HDMI、i.LINK、LANCといった端子が現れる
CMOSロゴの下に、カメラコントロールというダイヤルとボタンがある。これはフォーカスコントロールなどをマニュアルで操作するためのもので、オートでの撮影が難しいときに重宝する。なお、このダイヤルはレンズ部に下から添えた左手の親指でごく自然に操作可能だカバーをはずすと、HDMIにi.LINK(IEEE1394)、LANCといった端子が現れる。HDMIは今後多くのテレビに搭載されていくものと思われるだけに、この端子の搭載はされるべくしてされたというところだろう

2006年度、HD対応カムコーダーの市場規模は約3倍に!?

ソニーマーケティング(株)モバイルネットワークプロダクツマーケティング部統括部長 畑井尚也氏
ソニーマーケティング モバイルネットワークプロダクツマーケティング部統括部長 畑井尚也氏

製品説明会では、ソニーマーケティング(株)モバイルネットワークプロダクツマーケティング部統括部長の畑井尚也氏によって、ソニーが予測する2006年度(2006年4月~2007年3月)のカムコーダの出荷台数や金額などが明らかにされた(図1)。畑井氏は、2006年度はカムコーダーの出荷台数は減少するものの、ハイビジョン品質での録画に対応するモデルやHDDに記録できるモデルなど付加価値の高い製品の存在により出荷金額は維持されるとしている。

畑井氏は合わせて、ビデオフォーマット別の出荷構成比の推移と2006年度の予測を紹介(図2)。2年前はminiDVカセットに映像を記録するDVフォーマットが80%以上だったが、2005年度には50%程度になっている。DVDやHDDなど扱いやすいメディアにDVフォーマットと同程度の映像品質で記録できるカムコーダが登場している以上、ソニーの予想にあるとおりDVの衰退は時間の問題といえるだろう。それも気になるところだが、この推移表で特に注目したいのは2005年度のグラフにあるHD(ハイビジョン)の7%。一般ユーザー向けのHD対応カムコーダーといえば、現時点では事実上ソニーのHDR-HC1しかない状態であり、この数字は特筆すべきものがある。2006年度は出力装置であるテレビのHDサポートなどがさらに進むことを考えれば、その数字の増加も大いにありうるだろう。ソニーは、同社のHD対応カムコーダーで、カムコーダー市場全体の15%を獲得することを目標としている。



国内におけるカムコーダの出荷台数と金額の推移
【図1】国内におけるカムコーダの出荷台数と金額の推移
ビデオフォーマット別の出荷構成比の推移
【図2】ビデオフォーマット別の出荷構成比の推移

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