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【IT事件簿】出会いサイトは悪くない?


2002年7月19日

出会いサイトで援助交際を持ちかけて誘い出した男性を暴行したうえ、現金を奪ったとして奈良県警は少年6人を強盗致傷の疑いで7月15日逮捕。同様に出会いサイトで呼び出した男性を集団で暴行して現金を奪ったとして警視庁は、少年少女計13人を強盗傷害などの疑いで逮捕した、と7月11日発表。埼玉県警も同じ手口の事件で少年3人を逮捕した、と7月9日発表。山形県警も7月7日、同じケースで少年少女7人を逮捕した。(新聞各紙の報道から)

簡単に会えそうな若い女性にはご注意
出会い系サイトではいま、男性が被害者となる美人局(つつもたせ)事件が急増中? 簡単に会えそうな若い女性にはご注意(写真と本文は関係ありません)

逮捕者は皆、未成年の男女

出会いサイトにからんだ事件がクローズアップされて久しいが、7月に入ってからはこれまでの常識を覆すような事件が相次いで摘発された。従来出会いサイトを悪用した事件と言えば、昨年4〜5月に京都府で起きた建設作業員の男(25)による女子大生(19)とOL(28)殺人事件に代表されるように、男が女性を呼び出して強姦したり金品を奪ったり、殺人に至るというイメージが強い。実際そのような事件は多発した。ところが、ここにきて奈良県警、警視庁、埼玉県警、山形県警がそれぞれ摘発した事件はすべて男性が被害者となるいわゆる美人局(つつもたせ)のパターン。出会いサイトに登録したり男性にアクセスして男性を誘い出し、待ち合わせ場所に現れたところを多人数で暴行し、現金を奪った。被害者の男性はいずれも20歳台で、逮捕されたのは未成年の男女ばかりだった。

美人局とは、男女が共謀して女が他の男を誘惑したところへ男が現れて金品を強要する行為と、それを行なう者のことを言う。古典的な犯罪だ。被害者となった男性の方が表沙汰にしない場合も多く、今回同じ手口による事件が半月で4件も発覚したのは異例ともいえる。届け出されていないケースがこの何倍、何十倍もあることは容易に想像される。今回逮捕された中にも、同じ手口で何件も繰り返した、と供述している少年もいる。

4件を詳細に見てみると、まず奈良の事件では奈良市の男性会社員(28)を6月23日午前4時ごろ、同県田原本町の駐車場に呼び出して暴行し、6ヵ月の重傷を負わせ、現金20万円を奪ったという。逮捕されたのは同町の県立高校の男子生徒(16)ら6人で、同町の中学2年の女子生徒が補導された。警視庁の事件は、アルバイト店員の女(16)が、東京都稲城市の男性コンビニ店員(26)を呼び出して、川崎市の河川敷で金属バットで集団暴行し現金3万円あまりを奪ったらしい。東京都調布市の都立高校1年の男子生徒ら16〜18歳の少年11人と、呼び出し役の店員の女と17歳の少女も逮捕された。この13人は暴走族グループ。被害に遭った男性はパンツ姿にされて服を捨てられたという。

埼玉県警の事件はやや変わっていて、いわゆるネカマによる犯行。逮捕されたのは同県久喜市の県立高校1年と私立高校1年の男子生徒ら少年3人で、恐喝容疑。別の私立高校1年の男子生徒ら少年2人が書類送検された。5人は携帯電話の出会いサイトに女性を装って書き込み、メールを送ってきた男性会社員(20)を呼び出し、5月3日午前0時半ごろ「メール相手は俺の女だ。カネを出せ」などと脅して顔などを殴り10万円を脅し取ったらしい。5人は、3月から5月にかけて同様の10件の犯行を実行し20万円を奪った、と話しているという。

山形県警の事件では、被害者が監禁されている。携帯電話の出会いサイトにあった交際を求める書き込みに応えた同県小国町の男性会社員(24)を、福島市生まれの住所不定の無職少女(18)が6月4日未明、同県米沢市の河川敷に誘い出した。山形市の高校1年の男子生徒、2年の男子生徒、予備校の男子生徒など15〜19歳の少年6人が男性会社員に目隠しをして車に乗せてアパートに連れ込み、暴力団関係者であるようなことを匂わせて1ヵ月のけがを負わせ、現金などを奪ったらしい。少年6人と少女は強盗致傷と監禁の疑いで逮捕された。7人はこのほかに2件の事件を自供。さらに余罪があると見られている。

スケベ心が被害を招く

こうして見てくるとどの事件も、美人局の基本形とも言うべき単純な構図になっていることが分かる。男性にしてみれば、出会いサイトで知り合った相手に喜んで会いに行ってみたら、男(少年)たちが現れ、暴行されて現金を奪われるという悲惨さ。ヘラヘラ会いに行くからこんな被害に遭うんだ、という声もあるだろう。確かに、摘発された事件には援助交際の約束をして会ったケースもある。スケベ心が招いた災難、と片付けることは簡単だ。ただ今回は少女を相手にしようとしたことが最大の問題で、出会いサイトの存在が問題だとは言えないのではないか。

今回の一連の摘発は、出会いサイトの規制を目指す警察による男性ユーザーを減らすための効果的なアピールといえる。これまで警察は、ことあるごとに出会いサイトの危険性を強調してきた。警察庁は今年2月28日、統計資料として昨年1年間で全国の警察が摘発した出会いサイト関連の事件が888件あり、2000年の8.5倍に急増した、と発表。また3月28日には警察庁の研究会が、18歳未満の出会いサイトの利用制限など制度面からの規制を検討する必要がある、との提言を発表している。

これまで警察側は、出会いサイトは児童買春の温床になる、とのスタンスで規制が必要としてきた。研究会の報告でも、成人男性による児童買春を防止することを狙いに、18歳未満の利用制限を提言している。しかし児童買春処罰法で被害者となるはずの少女側が、出会いサイトで援助交際を持ち掛けるケースが後を立たない。となると、男性側に危機感を持たせるためには、少女と会おうとすると男たちに暴行されて現金を奪われる、という事実を示すことが重要になる。半月で4件も同じケースでの事件の摘発が発表されたことは単なる偶然かもしれないが、結果的には大きな抑止効果となる。

18歳未満の利用制限が必要か

ただ、だからといって出会いサイト自体を危ないもの、悪いもの、と決め付けてしまうことは乱暴だ。出会いサイトで知り合って結婚したカップルも少なくない。世界最大のオンラインサービス、アメリカ・オンライン(AOL)の日本でのサービス、ドコモAOLでは、出会いのコーナーやチャットなどネット上で知り合った会員同士の結婚が、1年間で100件以上ある。3日に1組がゴールインしている計算。結婚まで至らないまでもまじめに交際している恋人同士はこの何倍もある。

大手ポータルサイトでも出会いサイトは利用者が極めて多い。エキサイトの出会いコーナー、エキサイト・フレンズは登録会員が200万人を超えている。日本で最もアクセスの多いサイト、ヤフージャパンも今年5月に、出会いサービス、ヤフー・パーソナルズを開始し、好調だ。携帯電話のネットサービスでもau、ツーカーのEZweb、J-フォンのJ-SKYとも、公式サイトの中で出会いサイトの人気は高い。

今回摘発された事件のようなことは起きてはならない。児童買春にしても、少女側から持ちかけることも多いという実体はともかく、法律違反であることに間違いはなく、それに応えた男性は罪に問われる。今回の摘発によって、やはり出会いサイトは子供(18歳未満)には使わせないことが必要だという声が大きくなることだろう。既にヤフー・パーソナルズは18歳未満の利用ができない仕組みになっている。今回の一連の摘発をきっかけに、携帯の公式サイトでも18歳未満禁止の動きが顕著になっていく可能性も高い。

(麻河紀人)




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