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【あなたの知らない検索エンジンの秘密】広告エンジンが世界を覆う?
2002年7月31日
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筆者のジェフ・ルート(Jeff Root)。イージャパン(株)(http://www.ejapaninc.com/)でチーフSEOスペシャリストとして働く。日本には出たり入ったりで早や10年。北米と中央アメリカでも、SEOの仕事の経験を積んできた。納豆も大好き! |
いよいよ連載の2回目。みんな、元気かな? 今回は、新しい言葉を覚えよう。それは“オーバーチュア(overture)”だ。
オーバーチュアを日本語に訳せば、“序曲”。次にやってくるものへの道案内、といった意味になる。飲み物はディナーのオーバーチュアだし、雨期は来るべき夏へのオーバーチュア、ということだ。
さらにもうひとつ、新しい言葉を覚えておこうか。PPCだ。
こいつは単語じゃなくて、“ペイ・パー・クリック(pay per click)”の略語。クリックごと支払い、といった意味になる。PFP(pay for play, pay for positioning)という別の言い方もある。こいつがどういう仕組みかを説明しようか。
Aという検索エンジンが、Bというウェブサイトへのリンクを提供しているとする。ユーザーがこのリンクをクリックするたび、ウェブサイトB社は検索エンジンA社にいくらかの額を支払う。この金額は通常、特定のキーワード、キーフレーズについて、そのウェブサイトが検索結果ランキングの中でどの程度の位置にいるかによって違ってくる。上位に入っていれば金額は高いし、下位なら値段は安くなる。これはある種のランキングオークションのような仕組みを採っていて、もっとも高いランキングは最高額入札者に渡されるんだ。
こうした検索結果ランキングを提供している会社は、検索エンジンという呼び方ではなく、“広告エンジン”と呼ばれたりしている。だって彼らの提供しているのは、ロボットがインターネットからウェブサイトを収集し、作成したインデックスじゃない。カネを支払ったスポンサーのインデックスをもとにした広告を提供しているんだ。そりゃふつうの検索エンジンとは一緒にはできないよね。
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広告エンジン業界3大企業の競争はいま、こんな状態になっている |
さて、この広告エンジンの業界には、3大ガリバーがいる。
BTルックスマート・ジャパンとグーグル・アドワーズ・セレクト、それにオーバーチュアだ。
BTルックスマートは、今年はじめにスタートした。まあこの文章の冒頭に書いた意味合いを引き合いにすれば、BTルックスマートはその次に登場したグーグル・アドワーズの“オーバーチュア”みたいな存在だったかも。ついでに言えば、グーグル・アドワーズも、来春に日本でサービスを開始する予定のオーバーチュアの“オーバーチュア”と言えるかな。とは言っても、先行するBTルックスマートやグーグル・アドワーズが後から登場したサービスの引き立て役だったというわけじゃないよ。どのサービスがベストといえるかどうかは、なかなか難しいしね。
ただ、ぼくの個人的経験から言えば、もしあなたがこうした広告エンジンにカネを支払ってサービスを受けるとしたら、考えなきゃいけないポイントは次の2点。
まず第1に、利用のしやすさ。3ヵ月か4ヵ月、あるいはそれ以上、検索結果ランキングの上位に保ち続けるのが簡単にできるかどうか。予算を超えてしまわないように明細をきちんとチェックし続けないといけないかどうか。同じキーフレーズを使っているような同業他社が、あなたの会社より高い金額を入札したらどうなるか。そうした点がきちんとクリアになっていて、わかりやすく利用できないといけない。
第2に、マーケットシェア。どの広告エンジンが、もっともアクセス数が多いか。アクセス数が少ない広告エンジンにカネを払ったって、お客さんが来てくれずに無駄ガネになるだけだ。ぼくの思うに、広告エンジンのアクセス数がいちばん多いのは、ヤフーと提携しているところだ。ポータルのガリバーであるヤフーと結びついているところが、いちばんたくさんの人を惹きつけている。
こうした視点で見てみると、上の3社の競争はかなり激烈で接近戦だ……とりあえず今のところは。英語圏での戦いぶりを見てみると、グーグル・アドワーズ・セレクトはオーバーチュアよりも大きなシェアを得つつある。先日、検索ポータルのアスク・ジーブズ(Ask Jeeves)はグーグルと3年間にわたって提携することを発表した。9月からはアスク・ジーブズ上のPPC検索結果は、オーバーチュアからグーグル・アドワーズに置き換えられることになる。
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グーグル・アドワーズ・セレクトの日本語サービスの画面 |
これからの数年、SEO(この言葉は先週説明したよね。検索エンジン最適化、だよ)とPPCのメンテナンスを行なってくれる会社は、雨後の竹の子のように現われてくるに違いない。広告代理店やウェブ作成会社なんかがその一角に食い込んでくることになると思う。次回はそのあたりの話をしようか。ではまた来週……という前に、今月もいくつかの質問に答えておこう。
[問] 検索エンジンの世界に広告エンジンなんていうものが出現して、なんかすごい違和感があるんですけど。ジェフさんはどう感じましたか?
[答] ぼくにとっては、広告エンジンは自然なものに見えたし、そのビジネスモデルが成功したのを知ってもさほど驚きはなかったかな。ポータルサイトの多くは、生き残りのために広告バナーのスペースを売ろうとしているけれど、バナーがクリックされる率はどんどん低下しているから、彼らも何か新しい方法を考えなければならなかった。1998年6月にgoto.com(後にオーバーチュアと名称変更)が登場し、あっという間にポピュラーになったのは、それなりのニーズがあったからだ。つまり、広告会社はみな、バナーに代わる何かを追い求めていたわけだね。そして彼らの求めていたのは結局のところ、検索エンジンの検索結果ランキングで上位に入ることだった。これはのちに“サーチ・ターゲッテッド・マーケティング”と呼ばれるようになった。
[問] でも検索エンジンの検索結果が広告で左右されるなんて……ユーザー側に不利益はないの?
[問] 不利益があるとはぼくは思わない。広告が入っているからと言って雑誌が損害を受けているだろうか? あるいはテレビ局は? もしエンドユーザーがヤフーは素晴らしいサービスを提供していると考えていて、ヤフーが生き残りのために広告収入を増やさなければいけないとすれば、それはつまるところ、広告というのは良き存在だということにはならないだろうか?
たとえばあなたが“母の日の贈り物”を購入できるECサイトを探していたとする。もしある会社がある検索エンジンのランキングトップをお金で買って、そしてあなたに花束を売ることができたとする。だったら、その検索エンジンは十分に信頼できるサービスを提供している、って言えるんじゃないだろうか。
でもたとえばあなたが今度は“群馬県の河川”を検索していたら、検索結果には広告つきのURLは表示されないはずだ。だってそんなキーフレーズじゃ、なにかの製品やサービスを販売するための広告は取れないだろうからね。
[問] 広告エンジンは、日本市場を制覇しちゃうと思いますか?
[問] 制覇、ってのはずいぶんきつい言い方だね。グーグルやオーバーチュア、BTルックスマートのようなPPC企業は常に拡大戦略をとってるから、彼らが日本や韓国、中国の市場をねらって上陸してくるのは当然だ。
先週、ぼくはこんな記事を読んだ。世界の贅沢品の40%は日本人に購入されている――うち20%は日本国内で買われ、残りの20%は海外で休日を過ごす際に買われるそうだ。この数字が本当かどうかはぼくにはわからない。でもグアムやホノルル、パリ、ロンドン、ニューヨーク、ミラノ、そして香港の本当に本当に高級なショップを観察してみると、たいてい日本語を話せるスタッフを用意しているのに気づかされる。当然、広告エンジン業界でも同じことが起きるんじゃないかな。
(ジェフ・ルート/翻訳・編集部 佐々木俊尚)
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