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【あなたの知らない検索エンジンの秘密】米ヤフーから、グーグルのロゴが消えた


2002年10月3日

グーグルのニュースエンジンがスタート

筆者のジェフ・ルート
筆者のジェフ・ルート(Jeff Root)。イージャパン(株)(http://www.ejapaninc.com/)でチーフSEOスペシャリストとして働く。日本には出たり入ったりで早や10年。北米と中央アメリカでも、SEOの仕事の経験を積んできた。

グーグル(Google)は、世界中の約4000ものソースからニュースを集めて、英語で配信するサービスをはじめた。記事は一日中ぐるぐると更新され続けているから、ニュースページをチェックするたびに新しい記事を目にすることになるってことになるだろうね。さらに、関連した見出しや写真は自動的にグループ化されるから、同じ事件やできごとをさまざまな新聞社や通信社がどんな風に料理してるのか、違いをひとめで見られるってわけだ。

このニュースサービスが興味深いのは、記事を集めてくるという作業が人間の手によってでなく、アルゴリズムによって自動的に行なわれているということだ。どこにも人間の編集者は存在しない! だからたとえば政治的な視点やイデオロギーによって編集方針が変わるってこともない。完全に機械的に編集が行なわれている。たぶん今後、なんだか変な記事の集め方がされてしまうこともあるだろうし、あるいは記事のグループ分けが矛盾していたり、議論を呼ぶことになったりする結果も生じるかもしれない。しかしそれにしてもおもしろい試みだね。

新しいグーグルのニュースサービス
新しいグーグルのニュースサービス。試験サービスだったときと比べると、格段に見やすくなっている

インクトゥミの問題

米インクトゥミ(Inktomi)の株主を代表した共同訴訟が起こされた。訴えられたのは、インクトゥミの株を“買い”と勧めてミスリードしたアナリストたちだ。

メリルリンチ(Merrill Lynch)とモルガンスタンレー・ディーンライター(Morgan Stanley Dean Witter)という大手2社に加え、ヘンリー・ブロジェット(Henry Blodget)とメリー・ミーカー(Mary Meeker)という2人の著名アナリストが被告に名を連ねている。訴状によると、アナリストたちの“罪”は次のようなものだ。

  1. 何の合理的理由もないのに、インクトゥミの株を推奨した。
  2. 他の投資銀行を買収するためにインクトゥミの株を推奨していた、という事実を公表しなかった。
  3. 客観的な分析を妨げるような利害関係があったのにもかかわらず、その事実を隠していた。

この訴訟は、1998年6月10日から2001年4月3日までの間にインクトゥミの株を購入した人々を代表して起こされた。インクトゥミの株は'98年6月には1株36ドル(約4300円)だったのが、間もなく1株243ドル(約29000円)にまで駆け上がり、しかし'01年4月には2.79ドル(約330円)にまで下落してしまった。いまじゃ1ドル以下という有り様だ。そりゃ株主が怒って当たり前というものだろう。

かわいそうな株主はともかく、株価がこんなに悲惨な状態では、インクトゥミはいまや米ナスダック(NASDAQ)から上場廃止される危険性が出てきたということだ。同社の最近の四半期レポートもこう書いている。「われわれはナスダック市場の上場基準を満たし続けることが難しくなっている。これはわれわれのビジネスと財務状態に悪影響をもたらすだろう」。たいへんなことにならなければいいけどね。

オーバーチュアの次なる展開

米オーバーチュア(Overture)が、広告エンジンでマイクロソフト(Microsoft)のポータルサイトMSNと契約を結んだ。今年の第4四半期にサービスを開始するようだ。この契約は、オーバーチュアが米国内だけでなくカナダやイギリス、ドイツ、それにフランスという各地のMSNとの間で取り交わした広範囲な契約の一部だ。

グーグルのロゴがなくなった!

さて気になる米ヤフー(Yahoo!)とグーグルの契約だけど、10月2日現在、ヤフーのサイトはまだグーグルからの検索結果を表示し続けているみたい。“ページ検索”の上部右側を見ると、小さな字で“Search Technology Provided by Google”って表示される。見慣れたグーグルのロゴはどこにもない。日本のヤフーのページ検索では、相変わらず“Powered by Google”のロゴを表示してるんだけどね。これはひょっとしたら、グーグルからユーザーを守るために、グーグルの存在をなるべく目立たせないようにしようというヤフーの新しい戦略かもしれないね。

日本のヤフーのページ検索
日本のヤフーのページ検索にはこのようにグーグルのロゴが表示されているが……
米ヤフーのページ検索
米ヤフーのページ検索からはロゴが消え、文字だけになっている

さて、最近恒例となった検索エンジン教室。今週のお題は、検索エンジンの歴史だ。お届けするのは、イージャパン(株)の小杉国太郎。


ひとめでわかる! 検索エンジンの歴史

イージャパンの小杉国太郎
イージャパンの小杉国太郎

インフォシーク(Infoseek)

業界初のロボット型検索エンジンとして登場したインフォシーク。数年前まで、ヤフーに次ぐ2番手として君臨してきたものの、グーグルなどの次世代エンジンが登場して以来、ロボット型エンジンとして影が薄くなった感は否めない。

'94年1月
スティーブン・カーシュ(Steven Kirsch)が有料サービスとしてインフォシークガイドをスタート。'94年8月には無料サービスとなる。

'95年2月
インフォシークとして正式サービス開始。

'96年11月
Ultrasmart/Ultraseekを開発。

'97年2月
日本での検索サービスを開始。

'99年6月
米インフォシークの100%子会社として(株)インフォシークが正式に営業開始。

'99年1月
親会社であるザ・ウォルト・ディズニー・カンパニーの意向により、本社名称がインフォシークではなく、Go.comと変更になった為、インフォシークブランドは本国から消える。

'00年12月
楽天(株)が、(株)インフォシークの株式100%を取得。

'01年2月.
ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニーがGo.comの閉鎖を決定。

'02年9月
マルチメディア検索開始。

米国の本社が閉鎖されたため、エンジン自体の開発も止まっていたが、先日、マルチメディア検索をリリースするなど、検索性能向上からポータルマーケットでの巻き返しを図ろうとしている。

エキサイト(Excite)

米国の本社は、検索エンジン黎明期に名を知られていたマゼラン(magellan)、ウェブクローラー(Webcrawler)の2社を買収した後、ケーブルテレビ会社に買収され、合弁会社を設立したが経営が行き詰まり破産した。

'95年10月
エキサイトとしてサービス開始。

'96年7月
ロボット型検索エンジン会社のマゼランを買収。

'96年11月.
ロボット型検索エンジンのウェブクローラーを買収。.

'97年10月
エキサイトジャパン設立。日本での検索サービスを開始。

'98年5月
AOLとの提携により、AOLNetfindに検索サービスを提供。

'99年1月
ケーブルテレビ会社であるアットホームネットワークと合併。

'02年1月.
日本法人がデフォルトの検索エンジンとしてグーグルを採用。

'02年3月
本国のExcite@Homeが倒産。ブロードバンド事業をAT&Tに売却。この余波により、日本法人エキサイトは伊藤忠商事の子会社になる。

サーチエンジンの自社開発は断念し、今後はエキサイトフレンズや翻訳サービスなど、人気サービスを有料化する方向でポータルとしての生き残りを図る。

ライコス(Lycos)

米国法人は比較的早い時期から次世代検索エンジンであるFastを導入。日本法人も2001年12月よりWiseNutのエンジンを導入した。自社エンジンへの見切りをつけるのが早かった。

'94年5月
カーネギーメロン大学教授であるマイケル・モールディン(Michael Mauldin)氏により、原型であるサーチエンジンが開発されるが、後にその技術はAOLに売却される。

'97年6月
ライコスプロとしてサービス開始。

'98年2月
無料ホームページのトライポッド社を買収。

'98年10月
ライコスジャパンが本格サービス開始。

'99年2月
USAネットワークスがライコスを買収。

'99年4月
米国本社がオープンディレクトリーへの参加を表明。

'00年1月
米本社がデフォルトの検索エンジンとしてファスト(FAST)社のエンジン、データベースを採用。

'01年12月
ライコスジャパンではデフォルト検索エンジンにWiseNutを採用。

ライコスもサービスの有料化によるビジネスモデルの変換を図っている。エキサイトとは違い、エンタテインメント系コンテンツに課金を行う方向。また、パソコンを利用するタイプのIP電話サービス“Lycosポイントフォン”を2002年8月より開始した。

インクトゥミ(Inktomi)

ポータルではなく、情報検索ソリューションを提供するというスタンス。エンジンのOEMをメインに行なっているが、ここ数年そのポジションをグーグルに奪われつつあるのが現状。

'96年2月
UCバークレーに勤務する2人の研究員により設立。

'97年3月
gooのサービス開始とともに技術提供を開始。

'98年
ヤフーの公式検索エンジンとして採用される。

'98年9月
MSNの公式検索エンジンとして採用されるが、12月にはその座をアルタビスタ(AltaVista)に明け渡す。

'99年12月
再びMSNの公式検索エンジンとして採用される。

'00年5月
ヤフーの公式検索エンジンの座をグーグルに明け渡す。

インクトゥミはこれまでに、AOL、ヤフー、MSNという3つの巨大ポータルを含む数々のポータルサイトのメインエンジンとして活躍してきたが、グーグルの登場以来、上記3社のうちAOL、ヤフーという大口顧客を失った。

グーグル(Google)

グーグルの登場によりサーチエンジン市場は大きく変わった。設立後2年足らずで、米ヤフーの公式検索エンジンとして採用され、日本でもヤフー、エキサイト、BIGLOBE、OCN、@nifty、AOL等に検索エンジンとして採用されている。

'98年9月
グーグル設立。当時は一日に10000クエリーを処理する程度。

'99年12月
本社をカリフォルニア州マウンテンビューに移す。一日の検索数は飛躍的に伸び、一日に300万クエリーを処理するようになる。

'00年5月
ヤフーの公式検索エンジンとして採用される。

'00年11月
グーグルツールバーをリリース。

'02年1月.
エキサイトジャパンがデフォルト検索エンジンとしてグーグルを採用。

'01年3月〜4月
ヤフージャパンの公式検索エンジンとして採用される。その他@nifty、BIGLOBEなどのポータルにも公式検索エンジンとして採用される。

'02年2月
CPC型のテキスト広告アドワーズセレクトを開始。

'02年6月
AOLの公式検索エンジンとして採用される。

'02年9月
ニュース検索を開始。

ニュース検索機能の追加により、グーグルにもポータル化の動きが若干ながら見え始めている。マーケットシェアを奪われることを恐れるヤフーが今後グーグルとの契約を継続するのか注目したい。

goo

日本初の日本語検索に特化した検索エンジンとして注目を集めた。また、ポータルの集客力を利用したアンケート調査を実施するなど、新たなビジネスモデルへの取り組みを見せた。

'97年3月
NTTアド、NTT、インクトゥミの3社により設立。インクトゥミの検索エンジンにNTTヒューマンインタフェース研究所が開発した日本語処理技術「Infobee」を統合した独自検索エンジン。

'99年1月
ヤフーの公式検索エンジンとして採用される。

'99年3月
三菱総合研究所と提携し、インターネット・アンケート調査サービスを開始。

'99年8月
業界で初めて無料辞書検索サービスを開始。

'01年1月
AOLジャパンの公式検索エンジンとして採用される。

'01年3月
ヤフーとの提携が終了。公式検索エンジンはグーグルに取って変わられる。

'01年8月
新技術を利用したハイブリッドサーチエンジンを発表。.

ファスト(Fast)

ほぼグーグルと同じころに登場しているFastだが、基本的に検索OEMをビジネスモデルとしているため、自社サイトでの検索サービスにはあまり力を入れていないように見える。

'98年半ば
当時としては最大級のデータベースを持つ検索エンジンとしてオンラインに登場。

'99年5月
AlltheWeb.comとして検索サービスを開始。

'00年1月
ライコスが検索エンジンとしてファスト社のエンジン、データベースを採用。

エンジンの性能よりはデータベースの大きさで勝負している。グーグルで見つからない場合、Fastでも調べてみるか、と言った使われ方をしていると想像される。

ワイズナット(WiseNut)

2001年にグーグルキラーとして華々しく登場したのがワイズナット。ところがその翌年にはルックスマート(Looksmart)に買収されてしまった。

'01年9月
ワイズナットが検索サービスを開始。

'01年12月
ライコスジャパンがデフォルト検索エンジンをワイズナットに変更。

'02年4月
ルックスマートがワイズナットを買収。

検索エンジンの性能自体は優秀だが、グーグルと比較した場合、データベース量が若干少ない。その点について改良を施す前に買収されてしまったため、グーグルとの差はここ数ヵ月で大きく開いた感がある。

アルタビスタ(AltaVista)

インターネット黎明期に登場したロボット型エンジン。公式に日本語には対応していなかったため、日本でのマーケットシェアは大きくなかったが、英語圏では知名度の高い検索エンジンだった。

'95年後半
DECの研究所にてアルタビスタが開発される。

'96年
ヤフーが公式エンジンとしてアルタビスタを採用。.

'98年1月
コンパックコンピュータがDECを買収。それに伴ないアルタビスタもコンパック傘下に。

'99年1月
コンパックの一部門から切り離される。

'99年6月
CMGIがコンパックからアルタビスタを買い取る。

DECがコンパックに買収された時点でアルタビスタの処遇は宙に浮く形になってしまい、一度はもう終わったエンジンと見なされていたが、ここ最近ポータルに向かう傾向が見える。

フレッシュアイ

'98年当時、既存のロボット型検索エンジンがニュース等更新頻度の高いページを検索対象に出来なかった弱みを逆手に取り、更新頻度の高いページを検索可能なエンジンとしてスタートを切った。

'98年6月
東芝により検索サービスフレッシュアイ開始。

'98年11月
会社として東芝から独立。URLもhttp://www.fresheye.comとなる。

'99年7月
独自のディレクトリーサービスを開始。

'99年11月
スマート巡回アルゴリズム2を開発、情報更新頻度を従来の3倍にアップ。

'02年4月
(株)ニューズウォッチと合併し、存続会社は(株)ニューズウォッチとなる。

'02年7月
デフォルト検索エンジンをTOCCのエンジンに変更。

各サーチポータルで手軽にニュース検索ができるようになってしまったため、サービス開始時の強みが消えてしまい、その結果デフォルト検索エンジンをTOCCに変更せざるを得なくなった。

テオマ(Teoma)

ワイズナットなどと同様、次世代エンジンと謳われたテオマもやはり買収されるという形で業界からその名前が薄れつつある。

'98年
ニュージャージー州ラトガーズ(Rutgers)大学で、テオマプロジェクトがスタート。テオマとはゲール語で「専門家」を意味する。

'00年
テオマの検索サービス開始。

'01年9月
アスクジーブスにより買収される。

ギガブラスト(Gigablast)

インフォシークの検索チーム出身のメキシコ人エンジニアが開発した検索エンジン。'02年8月にリリースされた。公式には2000億ページを収集可能となっているが、現状では約1.1億ページ。

(ジェフ・ルート 小杉国太郎/翻訳・編集部 佐々木俊尚)




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