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【短期連載】802.11nのいま Vol.1――本格普及の前に知っておきたい802.11nの基礎知識


2006年7月24日

高速化の秘密は“MIMO”にあり

AGN300
米エアゴー・ネットワークス社の“TureMIMO”に対応した802.11a/b/gチップセット『AGN300』

大幅な高速化を果たした要因で特に大きいのが、米エアゴー・ネットワークス(Airgo Networks)社が実用化した“MIMO(マイモ、Multiple Input Multiple Output)”という技術の登場が挙げられる。仕組みを簡単に解説すると、送信側/受信側に使うアンテナとそこに流すデータストリームの数を増やして、データの転送をパラレル(併行)に行い、高速化するというものになる。

802.11a/b/gでは送信1/受信1というアンテナ数が基本で、その上には1つのストリームしか流れていない。送信1/受信2というアンテナ構成の製品もあるが、これは電波の感度のいい方に切り替えながらデータを受信したり、両方で受信してデータを合成するために用意されているものだ(“ダイバシティー”と呼ばれる技術)。

一方、MIMOでは、例えば送信側に2本/受信側に3本といった数のアンテナを用意し、1〜4つのストリームを同時に配信する。道路で例えると、道の数を増やして、そこを通過できる車両のキャパシティーを上げるというやり方になる。



MIMOの仕組み
MIMOでは送受信に複数のアンテナを使い、複数のストリームを同時に流す

加えてMIMOでは、障害物に反射した電波も活用するという特徴がある。802.11a/b/gでは、障害物に当たって反射した電波はノイズでしかなく、いかにこの反射波を排除するかが速度向上のポイントにもなっていた。

MIMO技術では直接波に加えて、反射波も受けて元のデータを復号するため、結果的に電波の到達距離を伸ばしたり、安定したスループットを実現できる。

ちなみにこのMIMO技術は802.11nだけでなく、既存の無線LANでも利用できる。(株)バッファローの『WZR2-G108』、(株)コレガの『CG-WLBARGMH』、プラネックスコミュニケーションズ(株)の『BRC-W108G』などが、既に発売されている802.11b/gでMIMOを採用して、約2倍の高速化を図った製品だ。

障害物に強い
MIMOには障害物に強いという特性もある

日本では今のところ使えない“チャンネルボンディング”

MIMOのほかには、同時に通信するチャンネルを増やす“チャンネルボンディング”という技術もある。

802.11a/b/gでは1チャンネル当たり20MHzでデータをやり取りしている。このチャンネルを2つ結合し、40MHzで転送する方法がチャンネルボンディングだ。先の道の例えで言えば、1本の道路の幅を広げて2車線に増やすことで、交通量を増やすというやり方になる。

ただし、電波で使用できる帯域が国や地域ごとの電波法で異なるため、このチャンネルボンディングは必ずしも世界中で利用できるわけではない。現在の日本の電波法は40MHzでの通信を認めていないが、法改正の要請がメーカー側から総務省に出ている状態だ。

規格名 周波数帯域 ストリーム数 ストリーム帯域 理論値
IEEE 802.11b 2.4GHz 1 20MHz 11Mbps
IEEE 802.11a 5GHz 1 20MHz 54Mbps
IEEE 802.11g 5GHz 1 20MHz 54Mbps
IEEE 802.11n 2.4GHz/5GHz 1〜4 20MHz/40MHz 6〜600MHz

第2回は、ドラフト1.0に準拠した802.11n製品を用いて通信速度を検証する“10億円の豪邸でドラフト版11nの実力を見た”を掲載予定。



(編集部 広田稔)


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