無線LANの通信帯域が重なる2.4GHz帯
話が少し複雑なので、無線LANの仕組みに詳しくない人向けに補足しておこう。第1回では802.11nの通信に使われる周波数帯域が、2.4GHz帯か5GHz帯と解説した。無線LANではこの各帯域をいくつかのチャンネルに区切って、電波の干渉を避けている。
日本の2.4GHz帯(2.4〜2.497GHz)では、2.412〜2.472GHzの範囲に5MHzごとにチャンネルを置いて、合計13チャンネル確保している(802.11bのみ2.484GHzを含めて14チャンネル)。
ここで「2.4GHz帯が13チャンネル」という点が、前述した「実質3チャンネルしか確保できない」という文章と矛盾しているように感じる人がいるかもしれない。2.4GHz帯の13チャンネルは、各チャンネルの間が5MHzしか開いておらず、802.11b/g/nの通信に必要な約20MHzを確保しようとすると、必ず前後のチャンネルに重なってしまう。
例えば、“チャンネル3”で通信している無線LANアクセスポイントは、1〜6チャンネルの範囲に電波が重なる。別のアクセスポイントを2つ導入して干渉を避けようと思ったら、“チャンネル7”か“チャンネル12”を使うしかない。
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2.4GHz帯における802.11gのチャンネル配置例。“1”“6”“11”といったように5チャンネルずつ離す必要がある |
しかも2.4GHz帯は“ISMバンド”と呼ばれる免許なしで使える帯域なので、無線LAN以外にもBluetoothや医療機器、電子レンジといった製品も利用している。
もともと100MHzに満たないせまい帯域幅で、しかも電波が過密状態にある2.4GHz帯に802.11n製品を置き、40MHzの帯域を使って通信したらどうなるか――隣の家のアクセスポイントが見えるような無線LAN機器が集中した地域では、電波干渉が起こってデータ転送速度が落ちたり、最悪の場合は通信できなくなってしまうことも考えられる。
ちなみにロルフ氏が「5GHz帯より2.4GHz帯のほうが問題視されている」と発言したのは、5GHz帯はチャンネル間が20MHz空いているのに加え、チャンネルを複数設けられるからだ。例えば米国の5GHz帯は40MHzでも6チャンネル確保できる。とはいえ、5GHz帯にも802.11aが存在しており、これとの干渉が懸念されるだろう。