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【特別企画】音を聴いて選ぶ、ポータブルオーディオ
2006年11月29日
各社から毎月のように発表される携帯オーディオプレーヤー。使い勝手や携帯性、コストパフォーマンスなどで語られることが多い携帯型音楽プレーヤー。しかし、最も重要なことが往々にして忘れられがちだ。それは音である。「音なんてそこそこで満足」「大した差なんかない」。そんな風に思っているのではないだろうか? しかし、同じ価格帯でもそこから出てくる音は大きく異なる。
特におもしろいのが、実売2万円前後のレンジのシリコンオーディオ。このクラスで音に関して決定版と言える機種はいまのところ存在しないが、それだけに各社の個性が如実に出ているカテゴリーである。最近では、音質の高さを積極的にアピールする機種も登場し、ロスレスフォーマットへの対応や、圧縮音源で失われる高域成分の補完機能、ノイズキャンセリングなどさまざまな付加価値が提案されている。そこで今回は、編集部注目のシリコンオーディオ4製品をピックアップ。1週間かけてじっくりと試聴してみた。機能には一切触れず、音だけで各社のキャラクターを浮き彫りにしていきたい。
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比較した4製品 |
なお、今回取り上げるのは下記の4製品だ。
- NW-S700Fシリーズ
- 実売価格:1万7800円(1GB)〜2万8800円(4GB)程度
- ノイズキャンセリング機能と4つのクリアオーディオテクノロジー
- iPod nano
- 実売価格:1万7800円(2GB)〜2万9800円(8GB)
- 定評あるデザインと使い勝手、大画面カラーディスプレー、豊富なアクセサリー
- D-snap SV-SD800N
- 実売価格:1万5800円 (128MBのSDメモリーカード付属)
- デジタルアンプと高域補完技術のリ.マスターに加え、ノイズキャンセル機能も新搭載
- Media Keg M1GC7/M2GC7
- 実売価格:2万円前後/2万7000円前後
- 高域補完技術Supremeやデジタルアンプを搭載、水晶クロックはオーディオ用に別立て
ソニー『NW-S703F』
パワフルな中低域と広がり感のある音場が魅力
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写真は1GBモデル。2GBと4GBのモデルもある |
音質面での見どころ
- 非常に高いノイズキャンセリング性能
- 高品質な付属ヘッドホン
- 重低音と広い空間を感じさせるサラウンド
- ギャップレス再生と豊富な対応形式
本製品の特徴は、付属ヘッドホンとの組み合わせで実現される“ノイズキャンセリング(NC)機能”である。まずはその性能の高さに驚かされた。
「周囲の雑音を1/4にカットする」というのがソニーのうたい文句だが、騒音の多い街中や通勤電車など利用するとその効果は絶大。再生ボタンを押した瞬間にすっと周囲の雑音が消える感覚が実感できる。NCは逆位相の波を信号に乗せて打ち消すタイプだが、オンにしても音質劣化は少ない。
ボーズの『QuietComfort』シリーズのように、周囲の音と完全に隔絶する感覚はないものの、駅のアナウンスや周囲の会話などは残しつつ、電車の中ではトンネルを通過する電車のゴーっという騒音、オフィスでは定常的に存在する空調やパソコンのファンの音をきれいに消してくれる。
音質傾向としては、音のきめ細かさよりもサラウンド感、高域の抜けよりは中低域の量感を重視しているように感じた。音の立ち上がりは緩やかで、霞のかかったようなウエットな空間表現となっている。
付属ヘッドホンはカナルタイプ(ダイナミック駆動型)で、口径も13.5mmとインイヤータイプとしては大型。低域の力強さとダイナミック駆動型特有のメリハリ感も兼ね備えている。この点がプレーヤーのキャラクターとうまく調和する。一方、E4cによる試聴では、高域の抜けや解像感の甘さを感じた。本機は5種類のバーチャルサラウンド機能(VPT)を装備するが、E4cを使った試聴では、オフの状態でも軽いリバーブがかかっているように感じ、やや作為的な印象になる。付属ヘッドホンの傾向を踏まえた音作りが行なわれているようだ。
| NW-S700Fシリーズの主なスペック |
| 製品名 |
NW-S703F、NW-S705F、NW-S706F |
| メモリー容量 |
1GB、2GB、4GB |
| FMチューナー |
○ |
| ダイレクトエンコード |
○ |
| 対応形式 |
ATRAC(66〜352kbps)、MP3(32〜320kbps:VBR対応)、AAC(16〜320kbps)、WAVE、ATRAC Advanced Lossless |
| ノイズキャンセリング |
○ |
| 高域補完 |
―― |
| 音質調整機能 |
プリセットイコライザー、5バンドEQ、クリアベース、クリアステレオ、VPT |
| バッテリー寿命 |
最長50時間 (ATRAC132kbps時) |
| 本体サイズ |
幅88.1×奥行17.0×高さ27.4mm |
| 重量 |
約47g |
| カラーリング |
ブラック、バイオレット、ゴールド、ピンク |
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アップルコンピュータ『iPod nano』
ニュートラルで全体にそつなくまとまっている
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iPod nano。写真のブルーは4GBモデルのみだが、2GBと8GBのモデルもある |
音質面での見どころ
- ふっくらとした厚みのある中低域
- 抜群に少ない曲間/無音部分のノイズ
- ギャップレス再生に対応
音の味付けはニュートラルで、全体にそつなくまとまっている印象だ。フラッシュタイプのiPodとしては、より小型の『iPod shuffle』という選択肢もあるが、音質の傾向はHDDタイプの“Video iPod”に近い。
高域はそれほど強調せず、中音域の厚みを重視したキャラクターである。音のメリハリがあるのはshuffleのほうだが、響きの豊かさや主旋律の裏で鳴っている弱音、ホールの残響といった細かなニュアンスは、こちらのほうが詳細に伝えてくれるように感じる。ロスレスや非圧縮のソース、曲間に無音部分が生じない“ギャップレス再生”に対応する点もshuffleと差別化する要素だ。
低域から中高域にかけてのバランスはよく、不自然な強調感はない。他社製品との比較では、高域の透明感や、音の見通しの良さなどで一歩譲るが、低域の支えがしっかりしているため、大編成のオーケストラなども音やせせずに楽しめる。音場はあまり広くなく、ボーカルなどはニアフィールドで聞いている印象だ。
音質面で特筆したいのは、無音部分や曲間での残留ノイズの少なさだ。付属ヘッドホンはもちろんのこと、高感度のカナル型ヘッドホンを使用した場合でも、よほどの大音量にしなければノイズは感じない。付属ヘッドホンは軽めの振動板を使用しており、中低域の音離れや情報量にわずかな甘さはあるが、オープンタイプ特有ののびのびとした開放感を味わえる。
| 第2世代“iPod nano”の主なスペック |
| 製品名 |
iPod nano |
| メモリー容量 |
2GB、4GB、8GB |
| FMチューナー |
―― |
| ダイレクトエンコード |
―― |
| 対応形式 |
MP3(32〜320kbps:VBR対応)、AAC(16〜320kbps)、WAVE、Apple Lossless、AIFF |
| ノイズキャンセリング |
―― |
| 高域補完 |
―― |
| 音質調整機能 |
プリセットイコライザー |
| バッテリー寿命 |
最長24時間 |
| 本体サイズ |
幅40×奥行き6.5×高さ90mm |
| 重量 |
約40g |
| カラーリング |
2GB:シルバー、4GB:シルバー、ピンク、グリーン、ブルー、レッド、8GB:ブラック、レッド |
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パナソニック『SV-SD800N』
メリハリの利いたサウンド、ノイズレベルの高さが残念
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D-snapシリーズの最新モデル『SV-SD800N』 |
音質面での見どころ
- デジタルアンプ搭載で、メリハリ感抜群
- S-XBSによる歪みが少なく、パワフルな低音
- ロスレス非対応なのが残念
D-snapシリーズは、他社に先駆けてデジタルアンプを採用。従来からメリハリの利いたクリアーなサウンドを実現していたが、今秋登場の『SV-SD800N』では、1チップLSIによるデジタルアンプ、圧縮時に失われた高域成分を補完する“リ.マスター”に加え、ノイズキャンセリング(NC)機能も新たに搭載した意欲作となっている。
NC機能は、専用のカナル型ヘッドホンとの組み合わせで実現されるもので、NCのオン/オフに加え、周囲の音をヘッドホンで聴くモニターモードも備えている。
傾向としては、はっきりくっきり系のサウンドで、解像感や音離れの良さは4機種の中でも良好な部類に入る。音質でプレーヤーを選択する場合、非圧縮/ロスレス圧縮に対応せず、転送ソフト側の制限でビットレートの上限も128kbpsまで(標準のMPEG-2 AACの場合)になってしまうのがネックだが、圧縮音源の再生でも、弦楽器を弾いた際のアタックの表現、音の分離などは優れており、なかなかの高音質だ。リ.マスターを利用すると、高域に響きが付加され、より広い空間を感じるようになる。
高域と低域に強調感があり、中域は若干やせる印象。イコライジング機能に関しては、低域増強のS-XBS(2段階)、バーチャルサラウンドのP.SRD(2段階)、電車などでの音漏れを防ぐ“トレイン”モードを用意しており、P.SRD1、P.SRD2、リ.マスター、トレインは排他利用となる。残留ノイズは若干高めだが、付属ヘッドホンではほとんど感じないレベルである。出力は3.3mW+3.3mWと低いものの、S-XBSの併用でパワフルな表現も可能。低音増強後の歪みも少なく、優秀だ。
| 騒音キラー搭載“D-snap”の主なスペック |
| 製品名 |
SV-SD800N |
| メモリー容量 |
――(最大4GBのSDメモリーカード) |
| FMチューナー |
○ |
| ダイレクトエンコード |
―― |
| 対応形式 |
MP3、AAC、WMA |
| ノイズキャンセリング |
○ |
| 高域補完 |
○リ.マスター |
| 音質調整機能 |
S-XBS1、S-XBS2、P.SRD1、P.SRD2、トレイン |
| バッテリー寿命 |
約30時間 (ノイズキャンセリング使用時は20時間) |
| 本体サイズ |
幅35.1×奥行き10.2×高さ86.9mm |
| 重量 |
約38.5g(カード、バッテリーを含む) |
| カラーリング |
ブルー、シルバー、ピンク |
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ケンウッド『M1GC7』
解像感の高さと優れた音場の再現に注目
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M1GC7。写真は1GBモデルだが、2GBモデルもある |
音質面での見どころ
- 解像感と情報量の豊富さはこのクラスでピカイチ
- なめらかに良く伸びる高域の表現
- 定位に優れ、楽器の位置関係もよく分かる
高音質プレーヤーとして定評のあるケンウッドの“Media Keg”。本機もしなやかに伸びる高音域の表現や、音離れの良さといった特徴を、兄貴分のHDD機から受け継いでいる。『HD20GA7』(HDDタイプの第1世代機)との比較では、情報量の豊富さや、音の滑らかさで一歩譲る面はあるものの、傾向はよく似ている。
基本的に解像度指向のキャラクターで、やや線の細さを感じる面はあるものの、クリアーかつスピード感のある表現が信条だ。ギターの弦を弾いた際の鋭いアタック、ハリのある金管楽器の音色、引き締まったベースラインなどは、臨場感あふれる表現だ。鈴やシンバルの音に多少歯切れの悪さを感じるが、高域はよく伸びる。左右チャンネルのセパレーションも良好で、広い音場と明確な定位感を感じた。HD20GA7で、指摘されていた残留ノイズに関してはかなり低く抑えられている。ただし、E4cとの組み合わせで、液晶パネルを表示させると、そのノイズを拾ってしまい、キュルキュルという音が混じってしまうのが残念だ。
対応形式としては、WMAとMP3に加え、非圧縮のWAVE形式にも対応する。容量が1〜2GBと少ないため、ロスレス圧縮への対応を望みたかったが、圧縮音源で失われた高域成分を補完する“Supreme”(サプリーム)に対応しており、使用すると音の滑らかさと高域のノビが改善される印象だ。5バンドのイコライザーも装備しているが、こちらはSupremeと排他利用になる。
| フラッシュ版“Media Keg”の主なスペック |
| 製品名 |
M1GC7、M2GC7 |
| メモリー容量 |
1GB、2GB |
| FMチューナー |
○ |
| ダイレクトエンコード |
○ |
| 対応形式 |
MP3(32〜320kbps、VBR対応)、WMA(32〜320kbps、VBR対応)、WAVE |
| ノイズキャンセリング |
―― |
| 高域補完 |
○Supreme |
| 音質調整機能 |
プリセットイコライザー、5バンドEQ |
| バッテリー寿命(付属充電池) |
約10時間(MP3 128kbps)、8時間(WMA 64kbps) |
| 本体サイズ |
幅37×奥行き15.5×高さ67mm |
| 重量 |
約44g(付属バッテリーを含む) |
| カラーリング |
2GB:シルバー、ブラック、1GB:シルバー、ブラック、ブルー、レッド |
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(編集部 小林久)
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