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米国IT事情

第1回 米国では相当盛り上がっている? 加熱する『iPhone』報道


2007年1月24日

アメリカでは、年明けの“Macworld 2007”の基調講演(キーノート)で、スティーブ・ジョブズがアナウンスして以来、iPhone、iPhone、iPhone……となんだかメディア自身が踊らされているかのように盛り上がりを見せている。

スティーブ・ジョブズ
Macworldの基調講演に登壇するスティーブ・ジョブズ氏 撮影:kaz shiozawa

ジョブズ氏の戦略、アナリストたちの見込み、市場の反響や反応、ブロガーたちの小競り合い(アップル信者とそうでない人たちとの)など、日を追うごとにさまざまな目線での記事やコラムが掲載されていて、なかなか興味深い。

日本でも、発表直後に騒がれはしたが、それはやっぱり専門誌を中心とした“業界メディア”の中だけに感じる。

例えば、ジョブズ氏のキーノート当日、米国のCNNやNBC、CBSといったテレビメディアは、Expoの会場から生中継を入れ、iPhoneの概要や聴衆の反応を伝えていたが、その様子を見るとキャスターたち自身もちょっと興奮気味……。そんな報道を見ていると、日米のiPhoneに対する温度差を少なからず感じる(もっとも国内の投入時期が明らかになっていないため当然なのだが)。

話は若干変わるが、『The late late show』(CBS)では、司会のクレイグ・ファーガソンが(ネタでだが)『iPhone』を賞賛し、対するマイクロソフトの音楽プレーヤー『Zune』やビル・ゲイツをこき下ろしていた。かたや、コメディー番組『MAD TV』(FOX)や『Saturday Night Live Show』(NBC)では、ジョブズのもったいぶったようなパフォーマンスを物まねし大爆笑!

こんなエンターテイメント番組を見ていると、アメリカではスティーブ・ジョブズやビル・ゲイツらが、一般大衆への影響を持つ人物として扱われているなと感じる。





徹底した秘密主義を貫いたアップル

さて、米国メディアが浮き足立っているのは、何もiPhoneが(彼らにとって)センセーショナルなプロダクトであるというだけではない。

その瞬間まで徹底的にその詳細がベールに包まれてきたからだとも言える。アナウンス直前のTVインタビューで女性キャスターに「私もiPodを持っているけれど、もしかすると“iPod電話”に買い換えるチャンスはあるのかしら?」と問いかけられたジョブズ氏は「アナウンスしていない製品の可能性についてはコメントしないんだ」とかわしていた。メディアのあちらこちらで“iPod+携帯電話”がささやかれてはいたが詳細は結局つかめないままだった。

基調講演直後の様子
基調講演直後の様子。ジョブズ氏の周りに人だかりができて、容易に近づけない状況だった

例えば、Newsday.comのAPビジネスライター、ジョーダン・ロバートソンは発表後の記事で、iPhoneの秘密主義について“業界史上、最悪なまでにかたくなに守られた秘密のひとつだった”と評している。また、Cnnmoney.comに掲載されたFotuneシニアエディターのピーター・ルイス氏のコラムでは「約2年半もの間、CingularやYahoo!やGoogleといったパートナーを持ちつつ、いったいどうやってiPhoneを世間に隠し玉として守り続けてこれたのか?」を話題にする。

同コラムによれば、アップルのシニアマネジメントクラスの人間でさえ、ジョブズ氏のキーノートで初めてiPhoneを目にしたという。また、パートナー企業や社員とは、機密漏洩の際の解雇や起訴体制を明確にし、ブロガーやジャーナリストたちに対しても何かあれば訴訟を起こすといった相当厳格な体制をとってきたようだ。社員に隠し、家族に隠し、ひたすら隠し続けてきたが、これ以上はもう隠し切れないと判断して、発表に踏み切ったのだとか。関係者たちが、妻や子どもに秘密にしていて辛かったというエピソードを取り上げるあたりは、アメリカならではと感じるのである。



日本人にとってiPhoneは古くさい?

「日本人にとってはiPhoneはすでに古くさい」という報道も面白い。

iPhone
ショーケースの中に収められたiPhone

例えばCNNでは、「多くの日本人の1日は、ケータイで始まりケータイで終わる」と紹介し、日本人のITエンジニアがお財布ケータイを使って一日を過ごす様子を追う。ある日本人男性は「iPhoneにはそれほど驚きはしないけれど、ファッション性があるので気になる」とコメント。リポーターは、この“気にしてもらえる“か否かが、競争の激しい日本市場での決め手ではないかと締めくくる。

Newsday.comに掲載されたタイムス・スタッフ・ライターのブルース・ウォレス氏の記事では、日本の若い女性がケータイにストラップやシールなどのデコレーションの部分にもお金をかけていること、eメールのやりとりやブログの更新、あるいはミュージックプレーヤーとしての使い方などを興味深く取り上げている。

“電話”“iPod”(ミュージックポータブルプレーヤ)、“インターネットコミュニケーション”がひとつのデバイスとなったというところをジョブズ氏は何度も自慢していたし、米国メディアも「これは便利! すごい!」と称賛していたが、言われて見れば、日本のケータイはそれが当たり前である。タッチパネルやスクリーンが指ひとつでスクロールするといった機能やスタイリッシュなデザインはさておき、米国ほどに騒ぐ必要はやはりなかったのである。

この記事では、ソフトバンクモバイル(株)が起用するキャメロン・ディアスのCMにも突っ込みを入れている。キャメロンがケータイを耳にはさんで忙しそうに歩き続けるアレだ。「キャメロンは、(たくさんの機能を備えた)ケータイでテレビを見るでもなく、占いをチェックするでもなく、ただただ電話をおしゃべりの道具として使っているだけ。まったくもってアメリカ人だね」とジョーク混じりに皮肉る。

そんなアメリカ人の携帯事情にiPhoneで革命が起これば、次のCMではきっとキャメロンもブラピもケータイで音楽を聴いたり、メールをやりとりしたりしているに違いない。



話題を振りまくジョブズと取り乱すバルマー

iPhoneの話題の裏でスティーブ・ジョブズ辞任の噂もささやかれているが、これは何も今に始まった話ではない。

去年、ストックオプション絡みのスキャンダルが浮上し、ウォールストリートジャーナルなどその手のメディアでは手厳しくやられている。だが、CNBCがiPhoneのアナウンス直後にジョブズ氏にインタビューした際に「スティーブ・ジョブズは、まだアップルのこの職を続けられる予定ですか」と尋ね、「会社が僕を必要としてくれている間はい続けたいね」と答えているし、「スキャンダルがそれほどアップルの経営に影響を及ぼすとは思えない」とコメントするアナリストもいる。

一方、米マイクロソフト社のスティーブ・バルマー氏が、「iPhoneについてのファーストインプレッション」を尋ねられて、「ハッハッハ、500ドル(約6万円)の電話かい?」と話す様子が“YouTube”にアップされているのだが、これは“本物のバルマー氏?”と思うほどなんとなく動揺している。

CNBCのインタビューの様子をアップしたのは、MacDailyNews.com(著作権はだいじょうぶなのか不明だが……)。これは、アップルマニアのための最新ニュースや話題を掲載するサイトだが、アップルの製品をこき下ろす発言には真っ向から対抗する。もっかのところ、MacDailyNews.comの最大の敵は、iPhoneについて「アップルだって間違いを侵すこともある」と述べたコラムニストのドヴォラク氏のようだ。

経済やマーケットシェアの話から、テクノロジーやビジネスの話、そして噂話まであれやこれやとiPhoneの話題はまだ当分の間、尽きることがなさそうだ。

(遠竹智寿子)




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